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複数の薬に耐性がある?新型のカンジダ症「カンジダ・オーリス」

2019年10月27日
心配している女性

カンジダ・オーリスは、2005年に東京で初めて発見され2009年には新型の真菌として報告された病原真菌です。カンジダ・アウリスとも呼ばれており生命を脅かすような感染症を引き起こすこともあるこの真菌の特徴は、一般的に使用されている抗真菌薬が効かない場合が多いことが知られています。従来のカンジダ症治療に使う抗真菌薬に対してすでに耐性を持っており、その多剤耐性のため他の真菌感染症に比べて死亡率が高くなっているのです。そしていったんカンジダ・オーリスに汚染された場所を完全に除菌することは難しく、病院内や老人ホームなどの医療現場では感染が広がる可能性もあり危険視されています。しかも表在性のカンジダ症と違い、病原性・致死性が高いことが知られているカンジダ・オーリスは限られた高価な機器を使用しなければ感染の診断ができず、一般の病院では有効な対策が取れないのが現状です。

カンジダ・オーリスに感染しやすいのは、長期間入院している人やガン患者、高齢者のようにすでに病気にかかっていたり抵抗力が低下している人です。また、集中治療室に入室している方や体内へカテーテルやチューブをつないでいる人など抵抗力が極端に弱まっている場合も感染のリスクは高くなります。アメリカでは血液悪性腫瘍、骨髄移植、脳腫瘍といった重篤な合併症の人での感染が報告されています。致死性の高い新型真菌ですが、多少の抵抗力が低下している場合や大きな問題なく日常生活が送れている健康な人の場合は感染の心配はないと言われていますので大きな不安を抱えることはないでしょう。ただし抗生物質の過剰使用はカンジダ・オーリスが感染しやすい状況を作ってしまうため注意が必要です。

カンジダ・オーリスの症状は発熱と悪寒で抗生物質が効きづらいことです。感染するとこの真菌は血流や傷に入り込み、敗血症や髄膜炎などの深刻な症状を引き起こすこともあります。このような全身感染を起こした場合の致命率は高く30~60%にも上ると言われていますが、感染者は脳腫瘍などの基礎疾患を抱えているため亡くなった原因を見極めることは難しいとされています。しかし他の病気の治療を困難にしてしまうため、この感染が問題となっていることは確かと言えます。

カンジダ・オーリスの流行地は、アメリカ・欧州・南米・南アフリカ・およびインド等をはじめとした全世界です。流行地から他の国へも拡散しており、中国の院内感染も報告されています。2013?2017年までにインドで243人、アメリカで232人、イギリスで103人、スペインで42人の感染者が報告されており、主に血液、外耳道、尿路、気道などからこの新型真菌が検出されています。カンジダ・オーリスの感染者の6割以上は血流感染症を発症しているという報告もあります。

カンジダ・オーリス感染症にかからないようにするために、医療施設内や病気の方の世話の時には手を清潔にすることが大切です。多剤耐性があるとされていますが、フルシトシン、ミカファンギンナトリウム、カスポファンギンに対する薬剤耐性率は10%以下との報告があり、これらの抗真菌剤は深在性真菌症の治療選択肢とされています。